torkuutのオリジナルクッキー缶ができるまで ー前編ー

torkuutのこと

先日、待ちに待ったtorkuutのオリジナルクッキー缶が完成しました^^

漠然と『クッキー缶を販売したいな』と考え始めた時から、缶は既製品ではなくオリジナルで作ろうと決めていました。
と言うより、順序としては
1.オリジナルのクッキー缶を作りたい
が先で、そのためには
2.中に入れるクッキーを作らないといけないな
という感覚でした。

なんで、そんなヘンテコなことになるのか?順序逆じゃない?って疑問を持たれる人も多いかもしれません。
そもそも、なぜオリジナルのクッキー缶を作ろう!と決断するに至ったかを説明すると、かれこれ、十年ほど前に知った絵描き作家さんがきっかけでした。作風は、一見するとカラフルでキャッチーでカワイイ。だけでなく、高い技術に裏打ちされた画面構成や豊かな色彩感覚、対象に注がれる温かな目線が魅力的な、本物のアーティストです。
初めて作品を拝見した時から現在に至るまで、国内に限らず海外の展覧会にも足を運んだり、作品を購入させていただくうちに「この素敵な世界観を、もっと多くの人に知ってもらいたいな」「作品を買うのは敷居が高いと感じるファンにとって、カジュアルに持ち帰れるお土産みたいなアイテムがあったら嬉しいかも?」と考えるようになって。
もし自分が買うとしたら、どんなアイテムが欲しいだろう。モノより食べ物の方が、自分用だけじゃなく、人にも気軽にプレゼントしやすいよね。パッケージは、大事に残したくなるようなデザインだと嬉しい。それならクッキー缶とか良いんじゃない?

・・・
ざっくり説明すると、クッキー缶を作ろうと決めた最初のキッカケはこんなところです。
なので、まずお菓子ありきの考え方ではなかったわけですね。
『この人の絵のクッキー缶が欲しいから、クッキーを作ろう』なんて、普通のパティスリーやお菓子屋さんの常識からすると邪道かもしれません。
でも、torkuutにとっては、まずここが出発点でした。
最初に断っておくと、結果的には、作家さんデザインのオリジナルクッキー缶は実現しませんでした。
そもそも、作家さんに頼まれたわけでもない自分の勝手な希望(妄想?)でしたし、ご多忙な中で実際にお願いするのも憚られる気持ちでした^^;
残念ではありましたが、できないものは仕方ないので他の方法を考えようと切り替えました。

他といっても、そもそも作家さんのデザイン缶を作りたいというのが出発点なので、おいそれと代わりが見つかるわけでもありません。
ちょうどその頃、SNSで知った別の作家さんにお願いしようかとも頭をよぎったのですが、その方は既に他のお菓子屋さんのデザインを手がけており、今さら私が頼んでも二番煎じ感は否めず。そもそも、お菓子屋さんの依頼を複数受けるのも難しいだろうし、こちらには頼みませんでした。すごく素敵なテイストで、今でも「あー、この作家さんデザインのクッキー缶、きっとすごく素敵だろうな~」と思ったりします。

そんなこんなで、何の実績もない個人が作家さんにお仕事を依頼するのは、自分が考えているよりハードルが高いのだなーと、遅まきながら 学びました。

となると、どうしよう。。スタート地点に戻ります。
第一に、好きな作家さんにデザインして欲しかったけど、それがだめになった時に頭に思い浮かんだのが従妹の存在でした。
同級生の従妹とは、自分たちでも驚くほど好みが似ていて、なおかつ信頼のおけるセンスの良さがあって。絵を描くのも上手なので、もしかしたら頼めるかもーと思っていたら、タイミング良く会えて、なんと現在はデザイン系の仕事をしていると言うではありませんか。
これは!と、クッキー缶の話をすると、デザインできるよーと快諾してくれました。
しかし、これで万事うまく事が進むかと思いきや・・私のなかで、最初に頼むはずだった作家さんのデザインイメージが固まり過ぎているのが仇となりました。
「こんな雰囲気で、ここはこんな感じで。。」と伝えると、サラーッと良い感じにラフを描いてくれるのですが、これって、私のイメージを押し付けてるだけで、何も知らない従妹に作家さんの真似をさせてしまうのでは?と考えてしまって、やっぱりダメだ!ごめん!となり。

人には頼めない、でも自分ではできない。
八方ふさがりだなー、どーしよかな、と、考えつつ、手持ちの古本やらをめくってみたり。
その中で、とあるイギリスのデザイナーの仕事をまとめた活版印刷本を見ていたら、何点か気になる図案を発見しました。
普通に考えて、人のデザインを勝手に流用するのはダメです。違法です。しかし、著作権には期限があり(没後〇年経過で保護が切れるなど。国によって異なる)、この場合を調べてみると、幸運なことに?著作権が切れていたのですね。てことは、使えるかも??
自分の判断だけだと不安なので、出版元のイギリスの会社宛てに『これこれこういうわけで、あなたの会社が出版した本の、この人のデザインを日本でクッキー缶として使いたいのだけど許可は下りますか?法律的に問題ないですか?』という内容のメールを送りました。
間もなく返事が届いて『OK!使っても問題ないよ』。

えー!まじでー!この素敵なデザインを無料で、問題なく使えるのー??嬉しすぎるのですが。。と浮かれました。
今考えると、自分の店のカラーや雰囲気とは少し離れているし、そもそもブックデザイン、挿し絵として、書籍のテーマに沿ってデザインされているので、トルクートオリジナルではありません。当たり前ですが。
その点は引っ掛かりつつも、でも、素敵だから良いか!と、少し加工してスキャンしたデータを缶メーカーさんに送りました。
ここで、ようやく缶メーカーさんとの実際のやり取りが始まります。
缶メーカーさんこと修芸社さんとは、昨年製菓衛生師試験に合格した直後からインスタ経由で連絡を取るようになりました。
『いずれオリジナルのクッキー缶を作りたい』という願いを真剣に受け止めて、様々な提案をしてくださった修芸社の津田ご夫妻。その時点では、工房もできておらず、一個人の戯言と聞き流されてもおかしくなかったのに、いつも真摯に対応していただきました。
大袈裟ではなく、torkuutがオリジナルクッキー缶を作れたのは、間違いなくご夫妻のおかげです。

ここまででも長くなり過ぎたので、後編に続きます!

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